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みんなの一歩 きゅうにんめ 〜北村 涼子さん〜

こんにちは!鹿児島県共生・協働センター、通称ココラボの情報発信を担当しておりますパッションです!

 

ココラボでは『みんなの一歩』と題して、鹿児島県内で活動をされている方に活動の経緯や活動に対する想いなどを記事にまとめて、ココラボに入って左手すぐの壁際に展示しています。

 

きゅうにんめとなる今回は鹿児島県姶良市のイオンタウン姶良で、『イオンゆめみらい保育園あいら』の園長をされながら、姶良市子育てコンシェルジュとしても活動されている方にインタビューしました。皆さんに、鹿児島でとても素敵な取り組みをされている方を知ってもらうとともに、皆さんの活動を始める小さな後押しになると嬉しいです。

みんなの一歩とは?

鹿児島県内には、多種多様な方々が様々な活動をされています。そしてその活動に至るまでの過程も様々です。

そこで『みんなの一歩』では、鹿児島県内で活動をされている方がどんな想いで活動をしていて、その活動を始めるそもそもの最初の一歩は何だったのかをインタビューしていきます。

 

みんなの一歩が、皆さんの活動を始める一歩の小さな後押しになるように、そんな想いで始めました。


みんなの一歩 きゅうにんめ

北村 涼子 さん(イオンゆめみらい保育園あいら 園長 兼 子育てコンシェルジュ)

ープロフィールー

姶良市在住。保育園園長、子育てコンシェルジュとして働きながら、障害のある息子の子育て、そして祖母の介護をしている。自分自身が困っている時に地域の皆さんに助けてもらった経験から、地域の中にみんなが安心して過ごせる場所を作りたいと思い様々な活動をしている。また『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』にも所属しており、障害のある子ども達のために様々なことを企画している。

 

▼子育てコンシェルジュとは?

身近な場所での子育てに関する相談受付や情報提供の窓口としてイオンタウン姶良内に設置されている。公的機関がお休みの土曜・日曜と月曜に開設しており、お買い物ついでに気軽に利用できる。

毎月第2第4月曜日には『子育て応援広場』を開催し、子育て世代の皆さまに喜んでいただけるイベントを企画・運営している。

 

▼『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』とは?

障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会では、障害のある子ども達のために様々なことを企画している。

長期休みに川遊びやそうめん流しをしたり、映画館にいけない子ども達のために野外での映画会を開催したりして地域の中で楽しめることをみんなで考えている。

 

活動内容の写真

上段左:子育てコンシェルジュの活動の様子(イオンタウン姶良)

上段右:『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』で開催した『星空の下の映画会』の様子①

下段左:『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』で開催した『星空の下の映画会』の様子②

下段右:『星空の下の映画会』を開催するにあたって制作した絵本


パッション:

子育てコンシェルジュを始められたのはどうしてだったんですか?

 

北村さん:

子どもが好きで、もともとは認可保育園で保育士をしていました。担任をしている時に子育てのことで悩んでいたお母さん達がたくさんいたんです。子育てって良い所がたくさんあるんですけど、じっくり話さないと伝えられないんですよね。担任業務をしている時は、一人一人のお母さんとじっくり向き合う時間がなかったので、子育てコンシェルジュという仕事を知って、転職しました。それに子育てコンシェルジュが相談業務だけではなくて、月に2回イオンタウン姶良でイベントをやっていて、イベントの企画もやってみたかったので思いきって転職しました。今は保育園で園長業務をしながら、子育てコンシェルジュとして相談業務やイベントの企画、運営をやっています。

 

パッション:

そうだったんですね。子育てなどの活動をするきっかけはなんだったんですか?

 

北村さん:

結婚して溝辺に住んでいた時に子どもの障害がわかったことですね。

団地に住んでいたんですけど、夜も寝ないし、ずっと走り回る子だったので、迷惑かけてるなと思って病んでしまって。病院の先生と、できるならここで育てていくという場所を決めて環境を変えずに育てていけたらいいよねという話をして、姶良市に引っ越しました。

 

パッション:

姶良市に引っ越した理由はなにかあったんですか?

 

北村さん:

周りのご近所さんですね。

まずは売りにでてる土地のご近所さんの所を、息子を連れて一軒一軒まわって「うちの息子はこんな障害があって、夜寝れないこともあったり、大きな声をだしたりするんです」という話をして、息子も実際にみてもらいました。そしたら今住んでるご近所さんたちは「そんなの気にしなくて良いんだよ、おいでおいで」と言ってくださる方々だったので、この場所に住もうと思いました。息子に障害があるからと隠して生きるのではなくて、本当のことを話してまるごと受け入れてもらいたかったんです。

なので今住んでいる場所が大好きなんです。息子のことを気にかけてくれるし、可愛がってくれるので恵まれてるなと思います。

 

パッション:

そういったご経験が今されている活動につながっていたりするんですね。

 

北村さん:

そうですね。なんでうちだけこうなんだろう、なんでうちの子は寝ないんだろう、なんでうちの子は喋れないんだろうと一人で悩んでいたりずっとモヤモヤしていたけど、お母さん同士のつながりができて変わりましたね。

現在所属している『姶良市障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』では、「うちの子こうだけどこんなのできたんだよ!」を自慢し合っていたり、会に関わってくださっている病院の先生はいつも私たちのことを羨ましいって言ってくださるんですよ。

 

パッション:

そうだったんですね。どうして羨ましい、なんですか?

 

北村さん:

思春期になったら子どもたちって親離れをしていくと思うんです。でも私たちの子どもは発達年齢も低かったりするので、ずっと一緒にいるんです。どこでも一緒にいられることを、大変と思う人もいるけど、それを羨ましいと言ってくれる人もいて。悩んだり辛い思いをしているお母さんたちも、そういう空気の中に入ったら、実はうちラッキーなのかな、こんな可愛い子どもがいて幸せなんだなという想いになってくれたら良いなと思ってます。

 

パッション:

ものすごく素敵ですね!『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』に入るきっかけはなんだったんですか?

 

北村さん:

姶良に引っ越してからの一番の壁が保育園に入れないことでした。そうやって悩んでいる時に、姶良市報で『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』を知って。夏休みにイベントがあったので、代表に連絡をして、参加させてくださいと言って参加しました。

 

パッション:

そうだったんですね。『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』ではどんなことをされているんですか?

 

北村さん:

『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』は、姶良市の障害のある子のお母さんたちや、学校の先生や事業所の先生方、ボランティアさんが所属しています。いろんなイベントをやっていて、夏にみんなでそうめん流しをしたり、野外で映画会をやったり、私たちだけではできないことをボランティアさんと一緒にやっています。

 

パッション:

映画館など普段は行きにくい場所も、体験することができるのは嬉しいですね。

 

北村さん:

映画会も色んな人に関わってもらっていて、それも全部人とのつながりなんですよね。本当は映画館で観たくて、「貸切させて貰えませんか?」とお願いしたのですが、お金もかかるしなかなか難しくて。そしたらこれもお母さん達のいろんな人脈で、外で上映できることを知って!でもお金がなかったので、みんなであちこちまわって一口千円で協賛金を集めました。一口千円でも、たくさんの人の気持ちが集まったら運営できるんですよね。協賛金の声をかける中で「映画を手伝いたい!」と言ってくれる人もいました。

 

パッション:

手伝いたい!と言ってくれた人たちがボランティアさんとして一緒にイベントをつくりあげていくんですね。

 

北村さん:

そうですね。例えば息子がトイレやお散歩に行きたいと言ったら、夫婦のどちらかがついていかないといけないんですけど、専属のボランティアさんが一緒についていってくれるので、私たちも座って映画を観ることができるんです。他にも、普段は外でゆっくりコーヒーを飲む時間もないのですが、前回の映画会の時はお湯を持って行って、ドリップコーヒーを飲むことができたんです。とっても幸せでした。障害があるとかないとか関係なく、子育て中のお母さんや介護をしている人は、自分の時間がなかったりすると思うんです。誰かが手伝ってくれることによって、30分、1時間だけでも自分の時間ができたら幸せだろうなと思います。なのでそんな人達が、「こんなことに困ってるんだー」とか、「ここに疲れているんだよね」とかを言いに来てくれる場所、存在でありたいなと思います。

 

パッション:

そんな場があることで、支えになっている人がたくさんいらっしゃると思います。

 

北村さん:

お母さんたちの存在って大きいんだなって思うし、周りの関わる人で子どもたちって変わるんですよね。環境が良くなれば子どもたちも明るくなります。うちの息子はあまり喋れないんですけど、ずっとニコニコしていて、「幸せそうだよね」と言われるのが嬉しくて。そんな息子の幸せそうな顔を見てたら私たちも幸せなんです。悩んでいるお母さんたちに、なんでそこに行き着いたのかを知ってもらえたら、今の辛い時期だけではないと思ってもらえるかなと思っています。

 

パッション:

映画会はこれからも続けていかれるんですか?

 

北村さん:

そうですね、映画会はこれからもずっと続けていきたいと思っているし、映画会を開催するにあたって絵本を作ったんですね。どうして映画が見れないのか、なんで映画館に行けないのか、なんでみんなが当たり前にできることができないのかを絵本にして知ってもらうことで、かわいそうだから手伝いたいではなくて、困ってるから助けてあげたいという気持ちに周りがなってくれたら良いなと思っています。絵本ってわかりやすいし、見てみようかなという気持ちになると思うので。こういうかたちで困っているとか、こういうことを助けて欲しいというのを今後もいろんなかたちで伝えていけたら良いなと思っています。

 

パッション:

人とのつながりやお母さんたちとも向き合うことを大事にされているのは、北村さん自身の経験があったからですか?

 

北村さん:

そうですね、私が人とつながれたことで救われたからですね。1人で悩んでいる時は、なんで自分はこんな辛いんだろうと思ってしまうけど、誰かと話すだけでそれが笑い話になったりもすると思うんです。実際に園の子どもたちと向き合いながら思うのは、子どもたちが笑顔でいるためには私たちだけではダメなんです。私たちがいくら保育園で楽しい経験をさせても、家でお母さんたちが悩んでいたら全部子どもたちに伝わるんです。だから悩んでいるお母さんたちと向き合ってお母さんが明るくなることで、子どもも明るくなるって思ってます。今は園の可愛い子たちのために、可愛い子を産んでくれたお母さんたちの力にもなりたいなと思います。

 

パッション:

ものすごく素敵ですね。人とのつながりを最初はどうやってつくっていかれたんですか?

 

北村さん:

とにかく口に出していましたね。つながりたい人を調べて電話をするというのを最初はずっとしていました。姶良に引っ越してきた時は、まずは息子がいなくなるかもしれないので、そんな時に助けてくれる消防団に電話をして、旦那を消防団に投げ込みました(笑)そこから自治会の活動などにも積極的に出るようにしました。

息子は、見た目で障害があるようには見えないんです。小さいうちは歩いていると通報してくれたりもするけど、現在高校生の息子がまちを歩いていても誰も気づかないんです。だけど息子の顔を知っていてくれたら、声をかけてくれたりもすると思って。そうなったら私も含めて家族全員が地域にでていかないといけない。家族のことを周りに知ってもらえるようにしていました。

 

パッション:

そうだったんですね。実際にこれまでいろいろな一歩を踏み出してみてどうでしたか?

 

北村さん:

振り返ると、みんなが動いてくれるから成り立っていると思います。

人の力ってすごいなと思っていて、映画会もお金の為にやっているのではなくて、ただ子どもたちに喜んでもらいたいという思いで、これだけ沢山の人が動いていることがすごいなといつも感動します。大変だけど、みんなが支えてくれたり、手伝ってくれる人がたくさんいるので、思っていたよりは大変ではないし、楽しいですね。でも絶対1人ではやろうとは思わないので、手伝うよと言ってくれる人ややりたいと思ってくれる人がいるからやっていけるんだと思います。

 

パッション:

これまでいろいろな一歩を踏み出している北村さんですが、これからはどんな一歩を踏み出そうとしていますか?

 

北村さん:

『障がい児の放課後・長期休暇を豊かにする会』や子育てコンシェルジュも、子どもたちやお母さんたちがそこに来て元気になってくれたらそれが私もすごく嬉しいんです。これからはもっともっと人をつなぐ場が欲しいなと思っています。最終的には、姶良でコミュニティスペースをやりたいと思っているのですが、場所を借りたり、改修したり、お金もかかるので、最初の一歩としてスナックをやりたいと思っています。

 

パッション:

なんでスナックなんですか?

 

北村さん:

息子が今高校生なんですけど、お酒が飲める年齢になった時に、知ってる所の方が敷居が低いのかなと思って。うちの子だけではなくて、ここなら飲んでも良いよとか、飲みに来て良いんだよという場所があったら良いなと思ったんです。それにお酒の場にはいろんな人が集まってきて、いろんな情報がもらえるので良いなと思って。

 

パッション:

楽しそうですね!これからは、どんなことを目指してやっていきたいですか?

 

北村さん:

楽しいことをたくさんやりたいなと思ってます(笑)

楽しいことを一緒にやっていたら、困っている人も元気になるのかなと思うので、楽しいことをやりたいですね。あそこ楽しそうだから行ってみようかなと思ってもらえるイベントをやりたいし、気軽に話せる存在でいたいです。イオンタウンという場所は、市役所の窓口よりは気軽に来ることができると思うので、自分にとって強みですね。だけどここだけではなくて、私に話したら私の周りの人が助けてくれるというのを知ってもらえたら良いなと思います。みんな苦手なこともあるけど得意なこともあって、実はこの人に頼んだら上手くやってくれたよみたいな、人の良い所を見つける達人になりたいですね。

 

パッション:

最後に、これから一歩踏み出したい人に向けてメッセージをください!

 

北村さん:

1人じゃ絶対何もできないと私は思っているので、色んな人に出会って欲しいなと思います。ほんとに出会った人で自分の見方とか生活とかも変わったりするから、人ってすごいなと思います。わたしは、まずはスナックを楽しみたいなと思います笑 そこに色んな人が来てくれたらきっと楽しいのでぜひお待ちしています!

 


おわりに

北村さんとのインタビューを通して、人とのつながりで人生は温かく豊かになるんだなということを感じました。そして北村さんは、自分のつながりをまた人につなげて、幸せを伝播する存在なんだなと思いました。誰かに会いたい、元気をもらいたいと思っている方は、ぜひ会いにいかれてみてください!

 

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