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みんなの一歩 15人目 〜瀬口 康平さん〜【後編】

 

本記事は後編です。前編はこちら

自分はどう在りたいかが場をつくる。

瀬口康平さんと「風と土」の最初の一歩

 

こんにちは!ココラボです。

 

 

今回ご紹介する15人目の方は、

霧島市隼人町で地域のこどもを支える居場所づくりに挑まれている 瀬口 康平(せぐち こうへい)さんです!

 

 

前編では、「不登校の親の会 スロース」から始まった瀬口さんの最初の一歩と、「風と土」立ち上がりまでの経緯をお届けしました。

 

後編では、瀬口さんが大切にしてきた「軸」と、現場で生まれている「自由」「つながり」、そしてこれからの展望をお伝えします。

 

 

後編

見失わない“軸”をもつ

 

「風と土」が少しずつ形になり、活動が動き出していく中で、
瀬口さんが一貫して大切にしてきたのは、

 

 

「なぜやるのか」「自分はどう在りたいのか」という“軸”を見失わないことでした。

 

 

その軸の背景には、今までに出会ってきた言葉や経験があります。
なかでも、瀬口さんの背中を押し続けているのが、次の二つの言葉です。

 

 

 

「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
 それをするのは世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」

-マハトマ・ガンディー-

 

 

 

「最大の悲劇は、悪人の圧政や暴力ではなく、善人の沈黙である」

-マーティン・ルーサー・キング・ジュニア-

 

 

 

 

当初、瀬口さんは社会課題を解決するための活動に積極的に関わった経験もなく、

何かを企画したり・始めたりすることも無かったため、何をしたらいいのか分からず不安があったそうです。

 

 

しかし、思いと勇気を持って一歩踏み出してみると、少しずつ周囲が変わりだしました。
こどもたちの表情、関わる大人の姿勢、そして地域の空気。

 

 

そうした変化を目の当たりにすることで、胸に刻んできた言葉が、

自分の中で「手応えある実感」へと変わっていきました。

 

 

「活動の中では、迷いや葛藤に直面することはありました。」

 

 

それでも、そのたびに原点に立ち返り、自分の軸を確認する。

 

 

だからこそ一貫した姿勢を保つことができ、周囲の人々にも想いが伝わりやすい。

そんな誠実な姿勢に共感し、協力してくれる仲間が集まり続けているのは、

瀬口さんが常に“自分の言葉で、自分の行動を語れている”からだと思います。

 

 

 

  

自由とつながりが生まれる場所 “風と土”

  

一貫した“軸”を持って動き続けることで、仲間が集い、少しずつ活動の輪が広がっていった「風と土」。

 


では、この居場所にはどんな想いが込められ、地域にどのような影響を与えているのか。

 

 

「風と土」という場をつくるうえで、瀬口さんが大切にしているのは「自由」であることです。

 

 

その背景には、活動を始めるきっかけとなった二つの出来事

「娘さんの不登校」と「コロナ禍での医療現場での経験」がありました。

 

 

「娘が学校に馴染めなかったのは、細かなルールや協調性を求める環境の不自由さが大きかったと思います。
 一方で私はコロナ禍の医療現場で、外部の都合で“最も辛いときに会いたい人に、会えない”患者さんたちの姿を目の当たりにしてきました。

本来は当たり前に尊重されるべき『個人の自由』が、環境によって奪われてしまう現実がものすごく辛かった。」

 

 

「だからこそ風と土は、厳しいルールや同調圧力のない、
 ひとりひとりの尊厳や“その人らしさ”が大切にされる、自由で安心できる場所でありたいと考えています。」

 

 

また、活動を通して瀬口さんが大事にしているのは「人とのつながり」でもあります。

 


「風と土」は、ただ集まる場ではなく、地域に緩やかな関係性を育む“起点”となることを目指しています。

 

 

「アフリカのことわざに『1人のこどもを育てるのに、1つの村が必要』という言葉があります。

 この言葉を活動の一つのキーワードにしています。」

 

 

「人が健康に生きていくためには、社会的なつながりがとても大事だと思っています。

 そういう意味では、この場所が地域の一つの起点になり、つながりが生まれ、

 関わってくれる・来てくれる人たちの心の健康が保たれていけるようになると嬉しいです。」

 

 

「心の健康には、社会的なつながりが欠かせない。」

 


瀬口さんはそう語ります。

 

 

「風と土」があることで、こどもや保護者、地域の人たちがふと立ち寄り、誰かと出会い、言葉を交わす。

 


そんな日常の積み重ねが、人々の心を支え、地域に温かな変化をもたらしているのでしょう。

 

 

これから

 

 「もう一つの学校になれたらいいな。」

 

 

瀬口さんは、未来への展望をそう語ってくれました。

 

 

「地域全体が学校のように機能していて、暮らしの中でしか学べない大切なことはたくさんある。
 それを地域の大人が地域のこどもたちに教えてくれる。お互いに自由に学び、つながれる。
 心の健康を保ちながら、喜びが循環していく場所にしていきたいです。」

 

 

あくまで特別な“施設”ではなく、日々の暮らしの延長線上にある“地域という環境”が、
こどもたちにとっても、大人たちにとっても、自然な学びの場となること。

 

 

それが、「風と土」がこれから目指していく姿です。

 

 

 

 

終わりに

 

「風と土」の取材を通して印象に残ったのは、瀬口さんが語っていた“自由”というキーワードでした。

 

 

「厳しいルールや同調圧力のない、来てくれる人の尊厳やその人らしさ、自由が尊重される場所にしたい」

と語っていたように、「風と土」は、訪れる人がそれぞれのペースで関わり、

心地よく居られる空間として丁寧に育まれていることを感じました。

 

 

取材の最中には、地域の民生委員の方々が「風と土」を訪れ、

瀬口さんと言葉を交わし、活動に関心を寄せられていました。

 

 

その様子は、「風と土」が地域の中で着実に信頼を得ながら

人とのつながりを育んでいることを象徴するような光景でした。

 

 

その背景にはやはり、「自分はどう在りたいか」という問いに、

瀬口さんが一貫して向き合ってきた姿勢があるのだと思います。

 

 

誠実に歩みを重ね、自分の言葉で行動を語る。

その姿に共感した人が仲間となり、また誰かを巻き込んでいく。

 

 

瀬口さんの話を伺って感じたのは、

「誰かのために動く」ということが、いつのまにか「自分の生き方そのもの」になっているということ。

 

 

最初の一歩は、誰かを思う気持ちと、わずかな違和感から始まりました。
その小さな歩みは少しずつ広がり、今では多くの人の心のよりどころとして「風と土」が息づいています。

 

 

地域で何かを始めたいと考えている方にとって、

今回のインタビューが、そっと背中を押す一歩となれば幸いです。

 

 

 

 

 

(執筆者: 一般社団法人テンラボ 古賀)