みんなの一歩 よにんめ 〜山川温子さん〜

こんにちは!鹿児島県共生・協働センター、通称ココラボの情報発信を担当しておりますパッションです!

ココラボでは『みんなの一歩』と題して、鹿児島県内で活動をされている方に活動の経緯や活動に対する想いなどを記事にまとめて、ココラボに入って左手すぐの壁際に展示しています。

 

よにんめとなる今回は、鹿児島県出水市で空き店舗を改修して、地域の交流拠点づくりを目指して活動されている方にインタビューしました。どんな想いで活動されているのか、そもそも最初の小さな一歩は何だったのか、どうやって一歩を踏み出していったのかなど、たくさんの話を聞くことができました。

 

皆さんに、鹿児島でとても素敵な取り組みをされている方を知ってもらうとともに、皆さんの活動を始める小さな後押しになると嬉しいです。

 

みんなの一歩とは?

鹿児島県内には、多種多様な方々が様々な活動をされています。そしてその活動に至るまでの過程も様々です。

そこで『みんなの一歩』では、鹿児島県内で活動をされている方がどんな想いで活動をしていて、その活動を始めるそもそもの最初の一歩は何だったのかをインタビューしていきます。

 

みんなの一歩が、皆さんの活動を始める一歩の小さな後押しになるように、そんな想いで始めました。


みんなの一歩 よにんめ

山川 温子(あつこ)さん (出水市地域おこし協力隊)

ープロフィールー

東京都出身。デザイン・イラストを学び、前職では知的障がい福祉施設でアート支援に従事。2019年に初めて北薩へ遊びに来たのがきっかけで地域に一目惚れし、2020年鹿児島へ移住。出水市地域おこし協力隊に着任。現在もアート活動をしながら、商店街の空き店舗をリノベーションしscAle(スケール)というお店をオープンすること、そこから地域にたくさんの「ワクワク」を増やすことを目標に、現在活動進行中。

 

地域おこし協力隊とは?

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期は概ね1年以上、3年未満です。

 

(出典:総務省ホームページ『https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html』)

 

主な活動内容

地域ローカルにダイブして人々の温かさに触れ、地域の魅力や美味しさを味わい、自分自身が惚れ込んだ地域の魅力を発信し、出水市に行ってみたい!というファンを創る。取材を通じて地元の困りごとを聞き、多くの地域でも課題になっている「空き家増加」「若者の地域ばなれ」「発信力不足」「田舎での孤立感」を、少しでも改善できる拠点をつくることが自分のミッションだと気づく。多くの方々に応援いただき支えてもらいながら、商店街にある空き物件のリノベーションに着手し、「地元の食材を美味しく頂くカフェ」「お土産やプレゼントにぴったりなセレクトショップ」「やってみたい!をサポートするチャレンジスペース」「いつでも気軽にアート・デザインについて相談できるデザイン事務所」という様々な顔を持った交流拠点『scAle』(スケール)づくりに挑戦中。鹿児島で出会った仲間や学生さん、地元の皆さんと力を合わせてDIYリノベーションをしながら、地域の魅力発掘・発信を行なっている。

 

活動内容の写真

上段左:近隣地域の協力隊や仲間たち、市役所の職員さんと一緒に材木はこび

上段右:川内商工高校とscAleコラボ製品制作

下段左:協力隊の仲間たちと一緒にDIY

下段右:scAleイメージ図


パッション:

今日はよろしくお願いします!

温子さんは、鹿児島県出水市の地域おこし協力隊2年目ということですが、元々ご出身は出水市だったんですか?

 

 

温子さん:

それが東京なんです。生まれだけ23区内の都会で、育ちはずっと東京の中の神奈川県に近い片田舎の町田市という所でした。

 

 

パッション:

そうだったんですね。地域おこし協力隊になる前はどんなことをされていたんですか?

温子さん:

東京の町田市にあるクラフト工房La Manoという知的障がい福祉施設で10年近く働いていました。そこではひとりひとりとコミュニケーションを取りながら、絵を描く方のサポートをしたり、新しく始める方とアートの仕方を模索して、その人がどういうモチーフが好きなのか、できた作品をどう展示するのか、どういうものにしたらお客さんに買ってもらえるかを一緒に考えていました。

 

 

パッション:

その方に寄り添ったサポートをされていたんですね。温子さん自身もデザイナーとして活動されていたんですか?

 

 

温子さん:

積極的にはやっていなかったんですけど、スリランカに1週間リトリートツアー(※)に参加した時に、絵を描きたいなとか、作品を作りたいなと思っても時間がないとか、仕事が忙しいしとか、やったところで売る先がないみたいな、できない言い訳を先にたてて後回しにしていたことがすごく馬鹿らしく感じて。それでスリランカから帰ってきて猛烈に作品作りを始めて、東京でマルシェやイベントに出店するようになりました。やりたいと思っていたことをやってなかった時間がすごくもったいないことだと気づけたので、大きな転機だったと思います。

 

※リトリートツアーとは?

仕事や生活から離れた非日常的な場所で自分と向き合い、心と身体をリラックスさせるためにゆったりと時間を過ごす新しい旅のスタイル。

 

 

パッション:

その転機が、出水市の地域おこし協力隊になった理由にも関係しているんですか?

 

 

温子さん:

そうですね。たまたま東京でヨガを教わっていた先生が、鹿児島県阿久根市の地域おこし協力隊になられて、移住して2ヶ月ぐらいで企画したマルシェイベントに東京から出店しに来ない?と気軽な感じで誘っていただきました。そこで初めて北薩地域に来て、滞在したのは3日間ぐらいだったんですけど、出会う人々の温かさから、面白さから、ゆるさから、食べ物の美味しさも景色も、東京と時間の流れ方が違うなというか、全部がすごい贅沢だと思いました。スローライフがこんなに当たり前にあるのが理想的で夢みたいだなと思って、ずっと「私ここに住みたいんですけどどうしたら住めますか!?」って言いながら3日間過ごしました(笑)その場では仕事も住む場所も決まらないので、「住みたい!」って言いながら東京に帰りましたね。年が明けて、職場の来年度の更新の面談をした時に、「夏で辞めます!」ってまだ何も決まってないのに気持ちだけは伝えました(笑)

 

 

パッション:ええ!行動力がさすがです!

 

温子さん:

そしたら阿久根市の方々が、隣の出水市で地域おこし協力隊を募集しているのを教えてくれたんです。出水市について調べていったら、出水もきっと素敵な場所だろうな!って思って応募したら奇跡的に採用していただきました。

 

 

パッション:

温子さんの魅力が伝わったんですね!初めての場所で、最初はどうやって地域にはいりこんでいったんですか?

 

 

温子さん:

とにかく町の人とまずは知り合いにならなきゃ!と思ったので、いろんなものを検索して、ここのお店に行ってみようとか、このお店で聞いた〇〇さんっていう人に会いに行ってみようというような感じで、自分自身の出水MAPをどんどん広げていきましたね(笑)

でも、ただ調べただけでは自己満足に終わっちゃうので、それをSNSで、今日ここに行ってここのお店はこんなでした!という自分レポートをまとめて発信していきました。それを見てくださった方とお店でであって、温かく迎え入れていただいた時はやってて良かったと思いました。

 

 

パッション:

それは嬉しいですし、SNSで発信され続けた温子さんも素敵です!それが温子さんが出水にきての最初の小さな一歩だったんですね。

地域おこし協力隊としての温子さんのミッションは何ですか?

 

 

温子さん:

最初の頃は、すごくミッションがふわふわしていたんですけど、年度末に開催されたリノベーションスクール@出水(※)をきっかけに、私の思いや願いをわかってくださっている方々が「あっちゃんがやりたいことってリノベーションとか拠点づくりだよね」というのを理解してくださって、「空き家を活用してリノベーションをすることで、その場所の魅力を開発したり、元々持ってるポテンシャルがグッと輝きをますようにその場所で活動することが地域おこしなんだよ」というのを行政の方にも伝えてくださりました。そこから、リノベーションを軸にした地域活性の形を実現するというのと、それに紐付けて移住・定住の促進というのがミッションとして任命されています。現在は、『scAle』という名前のお店を、今年夏のオープンに向けて絶賛改修中です!

 

※リノベーションスクールとは?

地域に存在する、空き家や空き店舗、空き地などの遊休不動産を題材物件としてオーナーに提供してもらい、「ユニット」と呼ばれる10人程度のチームを組んで、その物件を活用して再び人が使いたくなる事業プランを作り上げて提案し、事業化を目指す実践的なスクール。

 

 

パッション:

そうだったんですね。

最初のSNSで発信して感じたことと、リノベーションや拠点づくりはつながっていたりするんですか?

 

 

温子さん:

いろんな人と会ったり取材をするのを経て、こんなものづくりをしている人がいて、この商品ができるまでにこんなこだわりや大変なことがあるんだ、という作り手さんのストーリーを知ることができたんです。そのストーリーと作り手さんの想いを商品価値としてお伝えできるような売り方ができたらすごく良いだろうなと思って。例えば、パッケージデザインが難しいんだよねと仰っている農家さんも、私がもしお店を持つことができたら、農家さんと私のお店のスペシャルパッケージで売り出してみて、それによるお客さんの反響がどうなんだろうとか、こういうパッケージにするとこういう層のお客さんが買っていかれましたよ、みたいな反応がみれたりすると面白いのかなと思ったんです。

 

 

パッション:

お客さんの反応を見ることができて、それを伝えることができるってすごく良いですね!

 

 

温子さん:

他にも、出水には大学がないので、進学・就職を機に外に出ちゃう若い子が圧倒的に多いんですよね。進学・就職で外に一旦出たとしても、出水市に楽しい思い出があるからと言って戻ってきてくれるような、子供たちが帰省した時にあの店絶対遊びに寄ろう、みたいなのがあるとまたちょっと変わってくるんじゃないかなって思って。若い子たちにとって楽しいお店になれたらいいなというのも感じていたことでした。

 

 

パッション:

ものすごく素敵な場所になっていきますね!

改めて、これからScAleをどういった場所にしていきたいですか?

 

 

温子さん:

ワクワクが生まれる場所というのが大きなテーマで、もうちょっと具体的な言葉にすると、交流が生まれる場所というふうに思ってます。交流がないと、こうしたいけどどうしたらいいか分からない若い子たちだったりとか、若い子に限らずこういう面白いことをやってる人と知り合いになりたいんだよね!と1人で来た人が、帰る時には友達が何人も増えて帰るような場所。人と人との交流ができるような場所が目指す先なので、喫茶店カフェであり、雑貨屋セレクトショップであり、ギャラリー展示スペースであり、中々出水で見ることができないものとか、体験することができないコンテンツを企画したいとも思っています。ScAleに行けば絶対ワクワクできるし、何かしら面白い出来事や情報、人と繋がれる魅力的なお店になればいいなぁと思っています。

 

 

パッション:

すごく素敵です!

実際にお店を借りて自分でやっていくのは、すごく勇気のいることだと思いますが、どうやって踏み出していったんですか?

 

 

温子さん:

実際やるってなればもちろんお金もかかってくるし、お店の責任者になるわけだから、すごい決断ではあるんですけど、リノベーションスクール内で、もしやろうと思うんだったらお店のオーナーの方に納得してもらえるようなプレゼンを私たちユニット全員で考えるよ!というふうに背中を押してもらえたんです。こんなに大きくてしっかりとした一歩ないぞと思って、このチャンスを掴まなかったら地域おこし協力隊の任期が3年経ってしまって、結局物件見つかりませんでしたとか、具体的なやり方が分かりませんでしたとなってしまうかもと思って決断しました。

他にも同じメンバーの方々に、創業するまでの見積もりや工事にかかる費用であったり、まちの方々やご近所の方々に理解を得ることやそれを行う上での注意点であったり、工事にかかる費用はこれをDIYすればこんだけ予算削れるよということを教えていただきました。ほんと最初は、ふらふらでよろよろの小さな一歩をどこに踏み下ろしたらいいんだろうという気持ちだったのに、巨人の一歩を踏み出すことができました(笑)

 

 

パッション:

みなさんの応援や後押しのおかげだったんですね!

 

 

温子さん:

そうですね。私にとっては、揺るぎない一歩でした。この大きな一歩を踏み出させてくれた、大好きな人たちを絶対にがっかりさせたくないし、この人たちがやったね!と出来上がった時に、笑顔になってくれるものをつくればいいんだというのが明確な目標になったので、足元だけじゃなくて前が見えたというか、視線が高くなったようなそんな感じがしました。

 

 

パッション:

その変化は、東京から出水に来られて、これまでやってきた変化とつながりますか?

 

 

温子さん:

東京で活動していたときは、やりがいのある楽しい仕事ではあったんですけど、将来こうなりたいっていう姿がなかったんですよね。でも今は具体的に絵に描くことができて、それって頭の中で思い描けてないとその風景って見えないし、それがほんとこっちにきて見えるようになったのが1番嬉しいし、大きい成果なのかなって思います。

 

 

パッション:

一歩一歩の積み重ねですね。

最後に、今から何か踏み出そうとしている人に一言お願いします。

 

 

温子さん:

モヤモヤしていても良いので、やりたいことや困っていること、夢みたいなものをどんどん人に話してみて欲しいなって思います。言霊って言葉があるぐらいなので、言葉にするっていうことが叶えるための強い一歩だと思います。

私はこうしたいと思っているとか、こんな風になったら良いなと思っていてそれを実現させるためにはどうしたらいいか迷っているんだけど、それについての意見を聞かせて!とか、そういう話ができる相手を見つけて、どんどん話をしていってください。

自分の想いを伝えて、人に共感してもらうことが1番大切なことだと思うので、共感してもらうためにもまずは発信していってください。


おわりに

 

温子さんとのインタビューを通して、温子さんはこれまで様々な小さな一歩をたくさん踏み出して、それが積み重なって、現在の巨人の一歩になっているのだと感じました。他にもScAleのこれからについて、ものすごく素敵なアイディアや企画を話されている温子さんが印象的でした。みなさん出水に行かれた際は是非覗いてみてください!