こんにちは!鹿児島県共生・協働センター、通称ココラボの情報発信を担当しておりますパッションです!
ココラボでは『みんなの一歩』と題して、鹿児島県内で活動をされている方に活動の経緯や活動に対する想いなどを記事にまとめて、ココラボに入って左手すぐの壁際に展示しています。
じゅういちにんめとなる今回は、鹿児島県いちき串木野市で活動されている方にインタビューしました。皆さんに、鹿児島でとても素敵な取り組みをされている方を知ってもらうとともに、皆さんの活動を始める小さな後押しになると嬉しいです。
みんなの一歩とは?
鹿児島県内には、多種多様な方々が様々な活動をされています。そしてその活動に至るまでの過程も様々です。
そこで『みんなの一歩』では、鹿児島県内で活動をされている方がどんな想いで活動をしていて、その活動を始めるそもそもの最初の一歩は何だったのかをインタビューしていきます。
みんなの一歩が、皆さんの活動を始める一歩の小さな後押しになるように、そんな想いで始めました。
みんなの一歩 じゅういちにんめ
大迫 正純 さん
ープロフィールー
高校のインテリア科を卒業し、インテリア資材の総合商社(本社名古屋)に就職し地元を離れる。その後24歳の時家庭の事情により鹿児島に戻り、営業として35年余、インテリアからリフォーム建築関連の営業畑一筋。30年連れ添った妻との死別で独りになったのをきっかけに故郷への移住を決意。
▼えんたくとは?
円卓を囲ってお茶をするひと時のように、地域の和に入りフラットに話しをする関係性であることをめざした創発コミュニティ。移住を決意した同時期に母校である冠岳小学校が閉校となり、その廃校の利活用と地域の活性化を目的に活動していた任意団体「えんたく」の若者たちと知り合い、その中で地域の人たちとの交流の場であった「よりみち会議」に参加するようになった。
活動内容の写真
上段左:えんたく『よりみち会議』の様子
上段右:校長住宅の屋根の上に描いたメッセージ『いきいき冠岳』
下段左:『村の小さなひな祭り』開催の様子
下段右:竹灯籠作りの様子
パッション:
本日はよろしくお願いします!
最初に大迫さんの自己紹介をお願いします!
大迫さん:
還暦を迎えた年に、30年連れ添った妻に先立たれ、二人の子供たちも県外に出て独立しているため、完全リタイア後の終の棲家を故郷にと移住を決意しました。現在は、週末を利用して、空き家になっていた実家をDIYリフォームをしています。これまでは協力業者にやってもらっていた仕事を、これまでの営業経験はあるにせよ、技術は素人同然。しかし自宅なら失敗しても誰も文句を言わないので、経験値の集大成として、楽しみながら3年計画でのんびりやろうと思っています。
パッション:
現在のガス会社ではどんなお仕事をされているのですか?
大迫さん:
リフォーム事業部でマイスターという経験値を買われて採用されたので、ガスの需要家様宅を対象に、リフォーム需要の掘り起こしと、後進の指導を行っています。
また、それまで趣味でやっていたドローンを、会社が事業部として設立してくれたので、ドローンパイロットとして、屋根点検や外壁点検を行って、お客様(ガスの需要家様)に屋根の今の状態を一緒に確認して頂きながらメンテナンスのアドバイスを行っています。
パッション:
リフォームの経験を活かしてお仕事をされているんですね!現在はいちき串木野市に住んで仕事以外でも活動をされていますが、いちき串木野市に関わるきっかけはなんだったんですか?
大迫さん:
元々は鹿児島市に住んでいたのですが、定年退職を前に妻を亡くして、その後定年退職をしてこれからどうして行こうかなと考えていた時に、実家のあるいちき串木野市の冠岳小学校が廃校になるという連絡がありました。はじめは鹿児島市内といちき串木野市の2拠点生活をしながら実家のリフォームをするつもりでしたが、そこで故郷に対する意識が少しづつ芽生え初めて、自分も地域づくりのお手伝いができないかと地元の人と話をしていたら、『えんたく』という人たちが冠岳小学校の廃校後を考える活動をしていると聞いて、『えんたく』がやっている『よりみち会議』に参加しました。そうやって地元に力を入れてくれる人たちがいるのであれば、私も地元の橋渡し役になれないかなと思って、実家のあるいちき串木野市に移住を決意しました。私の地域活動を会社の方も応援してくれて、4月からリフォーム事業部としての在籍をいちき串木野支店の方に転勤させてくれることにもなりました。
※「よりみち会議」とは?
冠嶽につい寄り道したくなる場・モノ・コトづくりをするための会議
パッション:
そうだったんですね。最初の一歩としてはどうやって地域に入っていったんですか?
大迫さん:
今は実家をリフォームする一時的な仮住まいとして、校長住宅を貸していただいているのですが、まずは自分の地域に対する取り組み方を地元の人にも知ってもらいたいと思ったので、校長住宅の屋根に地域を盛り上げるメッセージを書くことにしました。校長住宅が空き家になって1年が過ぎて古くなっていたので、まずは自分の仕事でもある外観の洗浄をやっていきました。高圧洗浄でただ汚れを落とすだけだと面白くないと思ったので、苔文字で『いきいき冠岳』というメッセージを書いたんです。
パッション:
どうして『いきいき冠岳』だったのですか?
大迫さん:
どの地域も少子高齢化が進んでいますが、私たちの地域はそれが如実に出ている地域だと思っています。住んでいる人は、私と同世代かそれ以上の高齢者が大半で、校長住宅の前の県道はその高齢者の生活道路として日々通る道なんです。その高齢者を励ますメッセージでなければと思ったので『いきいき冠岳』としたんです。みなさん県道を通るたびに見ていただいて、あそこには何者が住んでいるんだと話題になっていたそうです(笑)そうして私の存在をみんなが意識してくれるようになったので、これを活かして地域の人たちに足を運んでもらえるようなイベントを仕掛けたいと思い、えんたくの事業として『村の小さなひな祭り』というのを実施しました。
パッション:
そうだったんですね!『村の小さなひな祭り』というのはどういったイベントなんですか?
大迫さん:
冠岳小学校の多目的室に畳を敷いて、自宅をイメージするような雰囲気を作り出してひな壇を飾ったんです。最初はただそれを見てもらうだけのつもりでしたが、それだけではつまらないなと思って、これを地域のお年寄りの人たちに使っていただきたいと考えました。以前から孫の写真やビデオレターを息子が送ってくれるので、来ていただいた人たちにひな壇の前で、遠くに住んでいる娘や孫たちに向けてこっちでもお祝いをしているよというビデオを撮って送るお手伝いをするイベントにしました。
パッション:
もの凄く素敵なイベントですね!どうしてひな祭りだったんですか?
大迫さん:
地域の人たちに来てもらうイベントとして、直前に迫っていたひな祭りの日に何かやりたいと考えたんです。いちき串木野市に完全移住するために引っ越しをした時に、娘が独立するまで毎年飾っていた七段飾りが出てきました。これまでも私は転勤族だったので、その度にひな壇を持って回っていたのですが、正直場所もとるので邪魔になるんですよね。でも妻のお母さんからもらったものだったり、娘からは絶対に取っておいてよと言われていたので、これをなんとか活かしたいと思ったんです。
パッション:
そうだったんですね!実際にイベントをされてみてどうでしたか?
大迫さん:
やっぱり来てくれた人たちの話を聞いていると、これだけ場を取るものを飾るためには和室が一部屋必要になるし、持っていても収納に困っている人たちがたくさんいました。来年はうちのを使って良いよ!と言ってくれる人が何人かいたので、来年はさらにバージョンアップしていこうかなと思っています。
パッション:
大迫さんが、地域の人たちにきてもらうイベントをつくったり、地域の橋渡し役になりたいと考えている理由はなんだったんですか?
大迫さん:
よりみち会議で話をしていく中で、地元の人と地域を盛り上げようとしている人の間に少し溝があるのを感じていました。ひな祭りで地域の人たちにえんたくの活動をどう思うか聞いてみた時も、私たちには関係のないことなのでという声も聞こえてきました。外から人を呼ぶこともとても大事なんですけど、まずは地元の人たちがいきいきと活動できる場をつくりたいと思ったんです。今回の『村の小さなひな祭り』では、地元のおばちゃんたちがこういうのだったら毎年でも良いよねと言ってくれたので、続けていきたいんだということを地域の集まりでも話をしました。でも今回のイベントはあくまでもきっかけなので、2ヶ月おきぐらいに地域に残していくイベントを作れたらと私は思っています。ひな祭りを今回やったので、次はこどもの日ですね。男の子たちに何か仕掛けようと思っています。
パッション:
そうだったんですね。こどもの日も来年も楽しみですね!!
大迫さん:
そうですね。その他にも実家の周りに山を持っていて、この山をなんとかしたいというのが私の地域づくりのひとつの柱になっているんです。まだ先の話ですが、私が親父から受け継ぐにあたって、親父が元気なうちに所有する山を確認しに行きました。その時に思ったことが、家の山だけではなく周りの山も荒れ放題で、まったく有効活用されていなかったんです。そういう山を見た時にここをみんなで楽しくできるような森にしたいなと思い、個人的に「童心の森計画プロジェクト」を立ち上げました(笑)私みたいな定年退職した人たちを集めて、楽しく色んな話をしながら、森を有効的に活かせるような活動をしていこうと考えています。
パッション:
「童心の森計画プロジェクト」も物凄く楽しそうですね!そこではどうやって活動を始めていかれたんですか?
大迫さん:
最初に始めたのは、荒れ放題になっていた竹林の間伐材を使って竹灯籠づくりを始めました。冠岳小学校の廃校跡を利用したイベントでワークショップを開催して、いろんな人たちから私たちの活動を目にしてもらえる機会も出来たので、空き地空き家対策・間伐材を利用したものづくりなど、私たちの志に共感していただいた人に一緒に活動をやりませんかと呼びかけています。他にも興味本位でアーチェリーの体験に行って、これを山の中でできたら面白いなと考えています。いちき串木野市の自然は、どこにも誇れるものがあるので、これをうまく利用した「鹿児島初」を作りたいと思っています。フィールドアーチェリーという競技は、気軽に山の中の自然を満喫しながら弓を引いて楽しんでいくという競技です。最初は山の中に色々な遊び場を作ろうと思っていたのですが、フィールドアスレチックのような大規模な施設を造る資金力はないので、まずは自分が出来ることを山の中でしたいなと考えています。
パッション:
『村の小さなひな祭り』でもそうでしたが、まずは自分のできることからやって、徐々に広げていかれるんですね。
大迫さん:
そうですね、まずは私の山でフィールドアーチェリーのコースを作って、その後他の地権者にも声をかけて、地域の山を活きた使い方をしませんかと提案をして地域中に拡げて行こうかなと、今自分の中の夢を多くの人に語り、実現に向け動いています。
パッション:
他にもこれからどんな活動をしていきたいですか?
大迫さん:
やはり自分の本業であるリフォームですね。地域に空き家がたくさんあるんですけど空き家対策として、私と同じように定年退職して色んな知識を持っている人たちを集めて、行政とも連携しながらワークショップ形式でやりましょうと呼びかけています。実家のリフォームを空き家対策の第一号に、みんなで創造しながら、なるべくお金を掛けずに、DIYでセルフリフォームをして行き、それが他の空き家所有者にも波及していくことを願っています。
パッション:
実家ではどんな場所をつくっていきたいと考えているんですか?
大迫さん:
私みたいな地域の定年退職した人たちの遊びの場所、地域を全体的に童心の森にしていきたいなと思っていて、まずは私の実家をそういう人たちの集まれる場所に作り上げていきたいと思っています。その他の空き家を有効活用すると言っても、先祖の色々な荷物も入っていて簡単には貸してくれないので、こんな使い方ができて、家も守っていくというのを伝えていきたいなと思っています。と言ってもまずは小さなことから、私ができることをやっていきたいと考えています。
パッション:
物凄く素敵ですね!これからどんな思いで活動していきたいですか?
大迫さん:
地域の人と地域を盛り上げようとするえんたくと行政の人たちを上手く巻き込みながら連携をして、一緒にやっていけるような事業をやっていきたいと考えています。そのために私が今までずっとやってきたリフォームの分野で役に立ちたいと思います。いちき串木野市議会でも予算を組んで地域の空き家対策に本格的に乗り出してくれることを聞きました。行政も目を向けている今だからこそ出来ることもあるし、大隅の柳谷集落「やねだん」に学んだ経験を参考にしながら、「行政に頼りつつ共生・協働する地域づくり」を目指し、我が地域ならではの特性を生かし、とにかく色々な仕掛けをつくって、色々なメディアにも取り上げてもらえるような活動をして、いちき串木野市がなんか賑やかだよねと思わせるようなことをやっていきたいと思っています。
パッション:
最後にこれから一歩踏み出したい人に向けてメッセージをお願いします。
大迫さん:
私の活動が参考になるか分かりませんが、私が移住を決めたきっかけになったのは、自分の生涯を通してやりたいことをまずは誰かに話したことでした。それを誰かに話すことによって、自分では実現できないことも必ず周りが色々教えてくれます。そしてまた手伝ってもくれます。なので自分のやりたいことは自分の中だけに止めておくのではなくて、人に話すことが大事だということを定年退職してから実感しているので、そこを是非伝えたいと思っています。
おわりに
大迫さんとのインタビューを通して、まずは自分のできることから小さく始めてみることの大切さを改めて実感しました。自分のやりたいことを地域の課題などに結びつけて活動されている大迫さんの姿はものすごく素敵でした。これからの大迫さんやいちき串木野市の活動が楽しみです!
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