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みんなの一歩 はちにんめ 〜中島 遼さん〜

こんにちは!鹿児島県共生・協働センター、通称ココラボの情報発信を担当しておりますパッションです!

 

ココラボでは『みんなの一歩』と題して、鹿児島県内で活動をされている方に活動の経緯や活動に対する想いなどを記事にまとめて、ココラボに入って左手すぐの壁際に展示しています。

 

はちにんめとなる今回は鹿児島県屋久島で、NPO法人うお泊屋久島の代表理事をされている方にインタビューしました。皆さんに、鹿児島でとても素敵な取り組みをされている方を知ってもらうとともに、皆さんの活動を始める小さな後押しになると嬉しいです。

みんなの一歩とは?

鹿児島県内には、多種多様な方々が様々な活動をされています。そしてその活動に至るまでの過程も様々です。

そこで『みんなの一歩』では、鹿児島県内で活動をされている方がどんな想いで活動をしていて、その活動を始めるそもそもの最初の一歩は何だったのかをインタビューしていきます。

 

みんなの一歩が、皆さんの活動を始める一歩の小さな後押しになるように、そんな想いで始めました。


みんなの一歩 はちにんめ

中島 遼 さん NPO法人うお泊屋久島 代表理事

ープロフィールー

 

高校卒業まで北海道で育ち、東京に10年住んだ後、2016年2月に屋久島へ移住。民宿すぎのこを約4年運営。漁師の息子である夫との出会いがきっかけで、漁師の暮らし体験宿ふくの木、遊漁船さかなのもりを開業。NPO法人うお泊屋久島の代表理事を務める。ほか、屋久島経済新聞などのライター業。プライベートでは現在1歳の男児の育児中。

 

NPO法人うお泊屋久島とは?

鹿児島県の離島・世界自然遺産の屋久島で、泳いでいる魚が食卓にあがるまでのストーリーをおいしく・楽しく・分かりやすく伝えることを目的に、島内外のさまざまな人へ向けた海と魚に親しむ体験プログラムを提供している。

 

うお泊屋久島HPはこちら

 

活動内容の写真

上段左:NPO法人の前身となる「屋久島ブルーツーリズム推進協議会」で視察に行った際の様子

上段右:漁具倉庫を改装した「漁師の暮らし体験宿ふくの木」の外観

下段左:レストランパノラマの特製地魚コース料理を提供したイベントの様子

下段右:安房保育園での食育イベント、お魚解体ショーの様子


パッション:

屋久島に移住したきっかけは何だったんですか?

 

中島さん:

家と仕事が見つかったというのが移住のきっかけです。

育ちは北海道で、高校を卒業してから東京に10年程住んでいたのですが、離島に移住したいなというタイミングで屋久島に家と仕事が見つかって、2016年に移住しました。

 

パッション:

離島に移住したいなと思ったのはなんでだったのですか?

 

中島さん:

東京で働いていた時は、ずっとビルの上でパソコンの前に座っているような仕事だったんですが、週末に自然に触れたいという衝動にかられて、都内から行ける山登りに行ったり、沖縄や奄美大島などの離島へ一人旅に行ったりしていました。その中で、奄美大島で現地の人にお世話になったという体験から、いつか私もこういう地域に住んで、迎え入れる側になりたいなというのを漠然と思い始めました。そこから、離島に移住したい!というのを周りの友人に言っていたところ、友人のひとりに「屋久島に親戚がいて、民宿の跡継ぎを探しているんですけど行ってみませんか?」というお話をもらって、屋久島に行ってみようかなと思い移住しました。

 

パッション:

そうだったんですね。実際に屋久島に移住してみてどうでしたか?

 

中島さん:

自分が元々イメージしていた沖縄や奄美大島のような南の島というイメージとは、屋久島は全然違うなというのを感じました。沖縄のようにアクアブルーの海や白い砂浜をイメージしていたのですが、屋久島の海って深い青緑色で、どん深なんです。島の中央に2,000メートル級の高い山があったり、草木の育つスピードが尋常でないくらい早かったり、自然が激しい場所だなというのをすごく感じました。雨も多くて天候の変化も激しいので、とにかく自然のパワーを感じる場所でした。

 

パッション:

屋久島に移住された最初はどんなことをされていたんですか?

 

中島さん:

屋久島に来てからは、『民宿すぎのこ』という宿泊施設で女将を4年間していました。観光地なので、年間数十万人もの観光客が島に訪れていて、宿も毎日入れ替わり立ち替わりお客さんが来ていました。

 

パッション:

4年間働いてみてどんなことを感じられましたか?

 

中島さん:

観光客のほとんどが、山を目的に屋久島に来て、縄文杉や白谷雲水峡などの有名どころを見て帰っていくという滞在の仕方で、それがもったいないなと感じるようになったんです。

私自身、屋久島のことを色々と知っていく中で、これからも島に住み続けたいと思うようになりました。その理由は、有名な観光スポットにではなく、普段の暮らしの中にありました。例えば地元のおばあちゃんが、私がいない間に玄関に野菜などの差し入れを置いてくれたり、港に行くと全然知らない漁師さんが声をかけてくれて、「魚持って帰るか?」と言ってくれたり、都会の暮らしとは異なる人との距離の近さや温かさを感じました。

 

パッション:

そこで感じられたことがいまの取組につながっているんですね。

 

中島さん:

そうですね。旦那のお父さんが今も現役で一本釣りの漁師さんをしているのですが、漁師さんから課題に感じていることを聞く機会が増えて、昔と比べて漁獲量が減っていたり、魚の値段がなかなかつかなかったり、若手の漁師さんが減って後継者がいないなどの課題を聞いているうちに、私にも何かできることがないかなと。

そこで、魚が海でどのように育まれて、どんな人の手を経て私たちが食べるところまでやってくるのかを感じてもらうことで、1匹の魚をより価値のあるものに感じてもらうようなことができないかなと思い、まずは『ふくの木』という宿を始めました。

 

パッション:

そのような想いがあったんですね。『ふくの木』という宿を始めて、現在は『NPO法人うお泊屋久島』を立ち上げられていますが、最初はどのようにして踏み出していったのですか?

 

中島さん:

近い想いを持っているだろうなという人や、この人と一緒に面白いことをしたいと思う人に、まずは声をかけました。そして、それぞれが今感じていること、どんな課題があるか、これからどんなことをしたいと思っているか、屋久島に対する想いなどを話し合う機会を設けました。みんな屋久島に住んでいて魚を扱っているけど、観光客も多くて忙しい時期も一緒だから、こういう話し合いをする機会って意外となかったねというのが共通認識でした。

そこからも法人の設立までに何度も想いの確認をする場を設けたのですが、本音で語り合ったり、課題や想いを共有することは、すごく大事なことだったなと思います。

 

パッション:

そうだったんですね。『NPO法人うお泊屋久島』には、どのようなメンバーの方々がいらっしゃるんですか?

 

中島さん:

宿泊施設の運営者、料理人、ガイド、自然体験のインストラクター、アゴだしなどのお土産品や地魚の燻製を作っている水産加工品業者、水辺の生き物の専門家などがいます。

 

パッション:

すごく多彩で、いろんなことができそうなメンバーですね!

 

中島さん:

そうなんです。個性豊かなメンバーで、得意なことがそれぞれ違うというのが私たちの強みです。連携することで、さまざまな体験プログラムを島内外の人へ向けて企画しています。以前は観光客へ向けたプログラムが中心でしたが、地元の方が意外と島の魅力に気づいていないと感じるので、もっと屋久島を好きな人を地域に増やすための活動もしていきたいと思っています。地元の方が意外と魚を食べなかったり、魚をお裾分けしても『どうやって食べるの?」と言われたことは、私にとって衝撃的でした。

 

パッション:

みなさん本業があって『NPO法人うお泊屋久島』に所属されていると思うのですが、コミュニケーションはどのようにしてとっているんですか?

 

中島さん:

美味しい魚を用意すれば集まってくれます笑

普段はLINEでコミュニケーションをとっていて、数ヶ月に1度はみんなで集まる日をつくっています。プライベートでも仲が良いので、一部の人とは頻繁に会う機会があったりもします。

やはり『NPO法人うお泊屋久島』に関わるからには美味しい魚食べたいよねということで、年に一度はおいしい魚を囲む会をしようと決めていて、全員が楽しみにしています。

 

パッション:

『NPO法人うお泊屋久島』の中では、はるかさんが最年少ではあるものの、代表として、そして実際に一歩を踏み出してこれまでやってこられてどうでしたか?

 

中島さん:

私が「一緒にやりたい!」と信頼できて尊敬できるメンバーに声をかけたので、最初はその人たちに対して私が引っ張っていく役割を担うのは、少し気が引けるというか、発言しづらいと感じていました。

だけどある時、それをぶち壊してくれた人がいて、「ちゃんと言いたいこといいなよ」とか「もっと本音をぶつけなよ」ということを、今思えば言ってくれたのかなと感じていて、そこから徐々に色々言い合える関係性ができてきたので、今は何を言っても大丈夫だと感じています。

 

パッション:

これから『NPO法人うお泊屋久島』として、どんなことをしていきたいですか?

 

中島さん:

まずは地域の人に知ってもらって、少しずつ連携できる方や応援してくれる方を増やしていきたいです。海という世界中でつながっている大きなものが相手なので、屋久島の中に限らず、できるだけ多くの方の協力を得られるとうれしいです。あとは、メンバーそれぞれが自分の事業を営んでいて、家族との暮らしもあるので、無理なく両立できる形を探っていくためにも、いきなり大きな目標ではなく、少しずつできることを増やして活動を「継続」していきたいと思っています。

 

パッション:

最後に一歩踏み出したい人に向けてメッセージをお願いします!

 

中島さん:

やりたいと思っていることがあるのなら、ぜひ挑戦してほしいです。身近な人にでもいいので、思っていることをまずは口に出すことが大事なのではないでしょうか。そこから思いがけない人の繋がりや、仲間が見つかることが出てくると感じています。なので、まずはその思いを誰かに共有することをやってみると良いと思います。

 


おわりに

中島さんとのインタビューを通して、自分のやりたいことや、想いを人に共有することの大切さを改めて考えました。暮らしてみて感じる魅力や課題を、自分にも何かできないかとひとつずつ一歩を踏み出したことによって今につながっているんだなと感じ、これからの中島さんやNPO法人うお泊屋久島の取組がますます楽しみです!

 

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